夏の研究大会

第71回 造形教育センター夏の研究大会 報告

2026年8月1日(土)、成城学園初等学校を会場に、第71回造形教育センター夏の研究大会を開催しました。会員・賛助会・一般参加・ワークショップ参加児童、合わせのべ約90名以上の方々と研究を進めました。今期の研究主題は「子どもが“世界”をつくるとき」です。

午前は、研究部長の橋本より研究部提案を行い、今期の月例研究会で積み重ねてきた「世界」の捉えについて共有しました。351期では、「世界」を、「造形を通してヒト・モノ・コトとの関わりの中で生まれた意味が結び付き、広がっていくネットワーク」と考え提案されました。

続いて、上田信行先生(同志社女子大学名誉教授)をお招きし、成城学園初等学校4年生の子どもたちとともに、造形ワークショップ「石とあそぼう」を行いました。子どもたちと参加者は、それぞれが持ち寄った石を「パートナー」として捉え、石を動かしながら線を描いたり、巨大な紙の上で石と石を線でつないだりしました。石の形や重さ、人との関わりによって、自分の動きや表現が変わっていく姿が見られました。

活動の中では、「まっすぐ進まない方が楽しかった」「上手くいかない方が楽しかった」といった子どもの言葉も聞かれました。思い通りにならないことを楽しむ姿は、造形活動の中でモノとの関係が生まれ、自分の見方が変わっていく瞬間でもありました。

床に敷き詰めた模造紙を渡り廊下から引き揚げ、吊り下げると今まで見えていた見方とはまた違う見方に自然となりました。参加した子どもも大人も自然と自分の足跡を探し、思い思いに気持ちを伝え合う姿も見られました。

午後は、大判の写真ドキュメンテーションをもとにした振り返りや、フィッシュボール対話を行いました。活動に深く入り込む「Dive-in」と、一歩引いて捉え直す「Step-back」を往還しながら、参加者同士が体験を言葉にし、今期の研究主題について考えを深めていきました。

最後には、グループごとに色画用紙や段ボール、マスキングテープなどを用いて、大会で感じたことを「つくりながら」振り返る時間をもちました。対話だけでなく、実際に手を動かして考えることで、一人ひとりの気づきや思いが形となり、参加者同士の新たな関わりも生まれました。

本大会を通して見えてきたのは、人が“世界”をつくるだけでなく、つくられた“世界”によって人の見方や感じ方も変わっていくという往還です。子どもと大人、素材と身体、自分と他者、表現と環境が関わり合う中で、造形教育における「子どもが“世界”をつくるとき」について、改めて考える一日となりました。

ご参加くださった皆様、ワークショップを共につくってくださった上田信行先生ならびに上田先生チームの皆様、成城学園初等学校の子どもたちに、心より御礼申し上げます。
(文責:橋本正裕)