月例研究会

造形教育センター321期 6月月例研究会

日時:令和2年6月28日(日)13:30~ オンラインによる研究会

講師:新井 哲夫先生(群馬大学名誉教授 元明治学院大学教授)

講演内容:【美術教育研究の何が問題なのか】

①普通教育における美術教育の役割・機能・目的等に対するコンセンサスの問題

②子どもの造形表現の発達に対する理解の問題

③子どもの「表現」の解釈の問題

④美術教育担当者としての非専門家教員の問題

⑤原理的な問題を検討する行政から独立した研究機関の問題

⇒これらの課題から「造形教育の今日的意義」について基礎的理解を深める

 造形教育センター令和2年6月月例研究会では、先月5月研究会に引き続き、オンラインによる月例研究会を行いました。今回は50名を超える様々なお立場の皆様と共に、新井哲夫先生の講演を聴講しました。1トピックごとご講演いただいた内容をもとに質疑応答したり、チャットを活用したりしながらの意見交換が行われました。オンラインで開催した5月月例研究会の経験が活かされ、新井先生のお話から生みだされるチャットの意見交換はとても熱く、絶え間なく、個々が思うことや、実感していることなどが交わされていきました。

 新井先生は、現場教育のベースの考え方となるお話、そして、講演テーマとなっていた、私たちが考えるべき「造形教育の今日的意義」として、美術教育研究の何が問題であるかを、様々な資料を用いてお示しくださいました。ご自身のお子様の表現を通して分析された「描画の動因または表現意図に基づく発達過程の見直し」では、なぐり描きの時期から写実期までを、従来の発達区分と共に提示してくださり、多様な校種のメンバーが、それぞれの立場で子どもたちの姿を考えるきっかけを与えてくださいました。

 また、美術教育の担当者が抱える問題や、「コロナを経験した教育現場がどのように、これからの教育を考えていくべきか?」という、美術教育のみならず、教育者として考えなければならない責任を実感するご講演でした。委員長の岡照幸先生より、新井先生のご講演から「当たり前を疑う」という力強いキーワードも生まれました。造形教育センターのメンバーの多様さについても、新井先生からは「強みである」という温かく背中を押してくださるお言葉もいただきました。ご講演に心より感謝申し上げます。