月例研究会

造形教育センター 5月月例研究会 報告

【日時】2025年5月18日(日) 14:00~17:00
【会場】川崎市立川崎総合科学高等学校 10F 教室
【内容】中学校・高等学校における美術教育実践報告およびディスカッション
【登壇者】
 ・丸山圭子先生(川崎市立中野島中学校)
 ・野田洋和先生(川崎市立川崎総合科学高等学校)
 ・在校生(デザイン科)
 今回の研究会では、中学校と高校におけるICT環境や授業実践の違いについて、さま
ざまな視点からお話がありました。中学校では、限られた設備の中でも、藍染や布に消
しゴムスタンプを使った制作、さらには和菓子店との地域連携など、昔ながらのものづ
くりに工夫を凝らした実践が紹介されました。
 また、南加瀬中学校での壁画制作や、美大の取り組み「旅するムサビ」による奄美大島
での制作体験など、生徒の表現活動が中学・高校・大学へと連続していくことの大切さ
も共有されました。卒業後も作品展や進路相談を通じて先生方が関わり続ける姿からは
、子どもたちの成長を長い視点で見守る教育の姿勢が感じられました。
中でも、芸大進学を目指して努力を続けた卒業生・茂木さんのエピソードからは、「頑
固さ」が粘り強さや表現への情熱につながり、前向きな力として発揮されている様子が
語られました。
 中学校と高校、それぞれのステージで大切にしている美術教育の姿も明らかになりまし
た。中学校では、様々な表現や素材に触れることで「自分らしく表現する力」を育むこ
と、高校では、専門性を深めながら「社会とつながる視点」や「試行錯誤を楽しむ力」
を重視していることが伝えられました。
 発言の中では、「小中高の枠を超えて、造形教育の本質を共有する視点が必要だ」との
意見もあり、教育のつながりを意識する重要性が再確認されました。
 また、在校生からは、子どもの頃に夢中になったアニメとの出会いや、中学時代の先生
との対話が進路選択の原点になったという話も紹介されました。「普通とは違う、自分
らしい道を歩みたい」という思いが、美術の世界へと導いたのだそうです。
最後に、野田先生からは「芸術の役割は、見えないものを見えるようにすること」とい
う言葉とともに、感性を育てる情操教育と、将来を見据えた職業教育の両立を目指す教
育のあり方が語られました。
【閉会挨拶・次回案内】
次回の月例研究会は、2025年6月28日(土)に文京区立竹早小学校で開催予定。テーマ
は幼児の造形教育。今回の中高実践に続き、発達段階の違いと共通点を考察する機会と
する。