年度末,仕事が一区切りついた頃だと思います。春の香りも漂い始めた3月25日(土)「造形教育センター夜の学習会夜も造形遊び」が行われました。
今回は「温故知新」をテーマに,小林貴史先生をお招きし,造形教育センターの歴史,さらにそれ以前の大正新教育の時代まで遡り,教育の歴史を紐解いていきました。そこから現代の造形教育にとっても普遍的なものを参加者の方と考えていくという趣旨です。
バウハウスの歴史と教育方法,そしてグロピウスの来日からデザイン教育の受容,社会としてのデザインという概念の隆盛など,センターの発足当時の社会的背景はもちろん,それを正しく理解するためには大正新教育から始まる日本の教育の流れを俯瞰的にみることも疎かにしてはならないものでした。
二元論的な教育方法では解決できないことがある,そのような小林先生の話がありました。それをカリキュラムとして具現化していくことなど学校現場でどのように我々が実践していくのか,子供の活動を中心とした研究から今後も検証していく必要があるでしょう。
「(先人たちから)我々は課題を託されている」という言葉も印象的でした。これまで,いくつかの社会の課題を造形教育も直面し,それに対する対処を考え,学校教育の中で目の前の子供たちに学力という形で答えを示してきたと思います。しかし,それでも掌から零れ落ちているものもありますし,また,新しい課題が生まれてきてもいます。常に社会の課題と正対し,子供たちとその解決策について造形教育を通じて考えていくことが我々の終わらない営みでもあるのでしょう。
時間も延長され,今までで最も夜更かしする学習会となりました。
(文責 守屋)

