夏の研究大会

第67回夏の研究大会 報告1

オンラインと併用し,久しぶりの対面参加でも行われた331期夏の研究大会が終了しました。

 1日目午前は湯瀬明意先生と大塚智大先生の実践発表でした。湯瀬先生は自画像の実践を紹介してくれましたが,本質としては,自画像を描くという活動を通じて自分自身の生き方や在り方について自身のことを見つめ問い直していく実践でした。「私よりも人生経験豊富な生徒がいる」というお話を湯瀬先生が話していました。湯瀬先生が一人ひとりの子供の人生に向き合っているからこそ発せられる言葉であり,子供に対するリスペクトを感じる言葉でもありました。

 大塚先生は小学校での実践を発表してくれました。学びの経験化をテーマに,「落ち葉でかくれんぼ」や,「新たな命が吹き込まれて」という針金を使った実践を紹介してくれました。日常生活と関連付けることで自分自身の生き方を豊かにしていくことにつながる実践でした。湯瀬先生と共に大塚先生の実践も自分自身を見つめなおすことにつながっており,それは子供だけではなく,お話の中では先生自身も自己の見つめ直しに図工の時間が生きていることを伝えられていました。

 午後からはアーティストの中島佑太氏をお迎えして行われました。中島氏のお話はアーティストインスクールの制度から行っている,学校での実践を紹介してくれました。体験した子供たちの言葉に,「ふういんしていた感情がでてきて,どうすることができないくらい楽しかったです。」というものがありました。参加者の方のお話してくれたことですが,中島氏のようなアーティストの方が学校現場に入ってくることで,「こうあるべき」という縛られているものから解放される何かがあり,既存の枠組みを壊す,柔らかくなっていく結果を生むのかもしれません。学校とアーティストと協働はそのための契機になるでしょう。美術の時間や図工の時間を通して子供たちの表現は本当に豊かになっているのか,中島氏の問いかけが残りました。

 これ以外にも中島さんとの話し合いを通して話題は広がっていきました。今回ここで伝えるにはその視点はあまりに多く,また,受け取り方もそれぞれであると思います。ぜひ多くの方が参加することで持ち帰っていただきたいとも考えました。

 (文責 守屋)