緊急企画 5月 月例研究会 報告「造形教育の今日的意義~コロナショックと造形教育~」

日時 令和2年5月31日(日)13:30~ オンラインによる研究会

 講師 石賀直之先生(東京造形大学教授)

 提案 「コロナショックと造形教育~顕在化する“人・もの・デジタル”~」

 造形教育センターでは、令和2年5月31日(日)、緊急企画としてZOOMを利用したオンラインによる月例研究会を開催しました。

創設65周年を迎えるセンターの歴史の中でも、オンラインによる研究会は初の試みとなりましたが、100名近くの参加者と共に、今期の研究テーマである「造形教育の今日的意義」について研究を推進することができました。

当日は、東京造形大学教授、石賀直之先生を講師に招き、「コロナショックと造形教育~顕在化する“人・もの・デジタル”~」をテーマに、ご提案をいただきました。

 石賀先生はコロナ禍によって強制的に学校から分断された子どもたちと、そのような状況の中で行われている造形教育について、時間と場所を軸にしたマトリクスを用いて私たちに現状を顕在化させてくださいました。キーワードは“つながり感”と“変わりゆく学校”でした。

石賀先生のマトリクスでは、従来型の学校教育(造形教育)を、時間と場所の共有を前提とした「対面型」の教育であると位置づけています。その対面による教育が、コロナ禍によって、人と人、人とものが分断を余儀なくされる中で、「デジタル」を介した新たな学校教育(造形教育)の可能性として生まれていることをお示しくださいました。

時間は共有するが、場所は共有しない「電話・チャット型」、場所は共有するが、時間は共有しない「掲示板型」、時間も場所も共有しない「メール・手紙型」に分類すると共に、その具体例を挙げながらわかりやすく現状を分析する視点は、まさに目から鱗でした。また、対面型の学校教育(造形教育)の良さを十分に理解した上で、コロナ禍を経験している私たちにとって、コロナ以降おいて、単に対面型の学校教育(造形教育)に戻ることだけではなく、それぞれのよさを、時間と場所の共有・非共有の境目がシームレスな学校教育(造形教育)の在り方として考えていくことの必要性をご教示くださいました。

また、当日は石賀先生のご提案を受けて、センター役員がコロナ禍を通して変わりゆく学校やその在り方をそれぞれの置かれた立場からリアルな現場の状況として報告しました。研究会に参加された多くの皆さんとともに、造形教育の今日的意義やその可能性を考える有意義な研究会となりました。なお、実践報告の一部は、本会ホームページにて「コロナショックの中で私たちが想うこと」にコラムとして紹介させていただいております。ご一読いただければ幸いです。