6月14日(日)、お茶の水女子大学附属中学校にて、6月月例研究会が行われました。今回のテーマは「デザインで“世界”をつくる~実践報告×対談~」です。中学生の実践とゲストとの対談を通して、今期の研究テーマである「子どもが“世界”をつくるとき」について考える機会となりました。
今回は、株式会社電通のアートディレクターとして活躍されている加藤寛之氏をお招きし、役員であるお茶の水女子大学附属中学校美術科教諭・桐山瞭子氏の実践報告と対談を中心に進行しました。両氏は大学時代からの旧知の仲であり、卒業後はそれぞれの分野で活躍されています。事前に共有された互いの「デザインする」ということへの思い、教育観をもとに、息の合った対話が進められていきました。
加藤氏のお話では、電通で氏が関わってきた多くの仕事が紹介され、それらが社会に実装され、どのような影響を与えてきたのかについても教えていただきました。広告に対する加藤氏の考え方や、デザインにおいて大切にしている思考、具体的な方法についてのお話は、示唆に富むものでした。加藤氏は、単に発信することに邁進していたのではなく、周囲の環境から繊細に感受したものであったり、事象やそのものの根底に息づくものを大切にしたりしながらデザインを通して具体化していく過程を大切にされているように感じられました。その姿勢には、非常に多くの学びがありました。
桐山瞭子氏の発表は、社会科と美術科の教員とで企画・運営した、総合的な学習の時間に行った「ジブンゴトタイム」と呼称する学習活動についてでした。美術科の授業実践者としての迷いや戸惑いも含め、実践に至るまでに感じていたことについても率直にお話しいただき、授業をつくる根底にある思いを感じ取る時間となりました。
加藤氏が仕事を通して社会に働きかけていることと、中学生が課題解決としてデザインしてきたことは、スケールとしては当然大きく異なります。しかしながら、「私にもできるかもしれない」という胸に秘めた思いを見つめ、切実な問いをもち、行動力へとしていくことに共通する点がありました。
「デザイン」とは、造形教育の中だけで使われる言葉ではありません。すべての人が「デザインする」ことを通して、社会の中で関係をつくり、自分自身を知っていくことにもつながります。デザインが造形教育の一つの内容であるならば、それは「私をつくる」一つの要素でもあります。
「デザインする自分をデザインする」。デザインすることは、社会をつくると同時に、自己を形成する営みでもあるということを改めて感じ、今回も「子どもが“世界”をつくる」ということへの多くの示唆が得られました。
(文責守屋建)


