2月月例研究会

 ◆平成25年2月16日(土) 午後2時~ 
 ◆成城学園初等学校

・内容 実践発表,ワークショップ,施設見学  
「成城における美術教育」 
 絵画の授業に関する実践発表、休み時間に工芸室で遊びに来ている感覚で自由に制作する 
 ワークショップおよび、美術以外の授業も紹介していきながらの施設見学等。

 発表者  成城学園初等学校 教諭 秋山朋也 氏 

 例年2月は、大学や私立学校等の入試関連で参加しにくい状況があるためか、月例研究会は開催されないことが多かったのですが、今回ご多忙中にもかかわらず大勢のご参加をいただきましたこと、感謝申し上げます。

 
 我が国の自由教育で有名な学園の一つである成城学園の、彫刻、絵画、工芸と専門別3名の初等学校図画工作教諭のうちの、絵画担当である秋山氏に発表いただきました。日々の実践やカリキュラムの説明、児童作品の紹介、ワークショップ、学園内のすばらしい施設の数々を案内していただき、内容豊富な実のある楽しい研究会となりました。 


 いくつかある図工室の一つに入ってまず驚くのは、黒板脇に設置された等身大かと思われる巨大なティラノサウルスです。その他、鯨の骨(子どもたちにも実際に持たせてみるとのことでしたが、大人が持ってもかなり重いものでした)や、広い準備室には、様々な種類のサボテンや珍しい海外の亀やトカゲたち、分解するための機械やパソコン…等々、トロピカルなムードが漂う、子どもたちにとってまさしくワンダーランドのような空間となっていました。 
 授業だけではなく、子どもたちは、休み時間や放課後にもやってきて、自由に制作したり、パソコンや機械類を分解したり、トカゲを抱いたりしているとのことでした。「場をつくってあげることが大切」という考え方に基づいており、秋山氏ら図画工作科教諭陣の個性あふれる魅力的な空気に包まれていました。 
 ユニークなカリキュラムが組まれており、時間割にも「遊び」「映像」「散歩」「文学」「舞踊」等の記載が見られ、特に情操教育上「劇」は重要なプログラムであり、ローマの円形劇場のような形をしたすばらしいホールや、大道具を制作する部屋、舞踏室、映像スタジオ等、様々な魅力あふれる施設を見学させていただきました。 
 ある子どもがキリンを描きながら紙のスペースが足りなくなったときに、どんどん紙をつなげて大きく描き進める場面や、「心の絵」の課題で「心って何?こんな感じかな?」等の魅力的な制作過程についての紹介があり、見栄えの良い作品に仕上げることより、過程を大切にすることの大切さについての実践が報告されました。 
 また、子どもたちに自分の作品の中から気に入ったものを選ばせる場面では、大人とは価値観のズレを感じるとのことで、大人は作品全体をイメージしてとらえるが、子どもは自分が気に入って制作したある部分に対して、こだわりと愛着をもつ傾向があるのではないか、との秋山氏のお話でした。

 
多くの活発な質疑応答がみられ、時間を延長しての閉会となりました。

研究会写真