10月月例研究会

 ◆平成24年10月27日(土) 14時00分~16時45分 
 ◆東京学芸大学附属竹早小学校
 たけのこルーム

◆内容

1、実践発表 
  社会福祉法人さくら会 さくら・さくらんぼ分園 第二さくら保育園
  永井彩也香 氏 「自然に囲まれた中での保育」
2、講演とワークショップ 
  造形教育センター第25代委員長
  辰巳豊 氏 「センターは常に若い!」

 実践発表の永井氏は、日々の保育の実践への熱い思いや、さくら・さくらんぼ保育園創立者斎藤公子氏の「全てのこどもたちに笑顔を」という理念に基づき、「預かるのではなく育てる場」としての数々の取組みを紹介していただきました。全身どろんこ自然体験、木登り、畑仕事や、子どもの絵を見ながら会議をし、絵の変化から発達段階を確認し、心の状態を把握しつつ、保護者との連携を図る取組み等が紹介されました。
また、年齢に応じた画材の与え方や、4歳になるまでは多くの色を与えることなく、一色で描かせる方法の紹介があり、会場からは様々な質問や意見がよせられ、造形教育の原点にまつわる活気ある議論へつながりました。

 講演とワークショップの辰巳氏は、センターで学んだことへの恩返しをしたいとのお気持ちで、経験を通して得られた、国内外での多岐にわたる魅力的なお話をいただきました。ドイツのエーリッヒ・ケストナーにまつわるご自身のエピソードや、パリの街並みが伝統や美を重んじながらも変化し続けていく事の重要性、またスペインの日本人学校での実践や経験等、話題をテンポ良いリズムで次々にかえていきながらも、その中に熱いメッセージが含まれていました。
かつて平日の夜に研究会を開催していた頃に「一人一人がセンターだ」と教えられ、たとえ経験が浅くても考えて発信する事の必要性や、2年おきに委員長を交代することで組織が硬直することなく、「常に変わっていくこと」の大切さを説かれました。


 また、講演の中で行われた、3原色の色鉛筆と紙を用いた2種類のワークショップは、それぞれの現場に持ち帰って応用できる意味深いものでした。
フロイトの「意識、前意識、無意識」についてや、Schemaについて「からだシェマ」「言語的スキーマ」という辰巳氏独自の表現で、それらが連鎖的に起こってくる事についての論を展開されました。
「自分が直接感じたものが尊い。そこから種々の仕事が生まれてくるものでなければならない。(山本鼎)」や、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残るのは、変化する者である(ダーウィン:種の起源)」等の言葉を引用し、自分の感性を大切にしながら、変わり続けていく事の大切さを説かれました。
言葉一つ一つに、人生の多くの喜びや悲しみの体験に裏打ちされた、深い味わいが感じられるご講演でした。

研究会写真