4月月例研究会

 ◆平成24年4月15日(日) 午後3時~5時 
 ◆東京学芸大学
 竹早小学校 たけのこルーム

 

1 実践発表
 ① NPO法人 プリズムスケープフィルム プロジェクトマネージャー ワークショップディレクター 

  内野 徹 氏「実践的学びの場の形成をめぐって」
② 看護師 木村祐子氏 「ケアとしての美術教育に関する研究―差別や暴力を受けた人々と私の関わりを中心にー」

2 講演 資生堂人事部 人材開発室長 キャリアデザインセンター長 グローバル人事グループリーダー  深澤 晶久氏 「魅力ある人で組織を埋め尽くすこと―資生堂における若手人材育成―」

 美術を通していかに社会や人、また異なる分野につながっていくかという事をキュレーションする視点で研究を進めており、様々な分野でご活躍の三人の方からのお話を伺いました。


 ワークショップディレクターの内野氏から、これまでの小学校から大学まで幅広い多くの実践を通して、ワークショップの場の作り方について発表されました。要求から要件化された目的に対する機能が大切であり、アートを伝えるためのツールと考え、様々なコミュニケーション力を育むという点や、ワークショップの機能として、①気づきのきっかけを与える②動機形成③実践的学びへ、と積み上げていきながら、パーソナル、グループ、フィールドワークへと体験を広げて行く方法論を図解とわかりやすい例をあげて示していただきました。


 看護師の木村氏は、重症心身障害児施設における看護の現場から、患者との丁寧なやり取りの記録とともに、ケアとしての美術を活用した実践を発表されました。後半は、インド亡命社会のチベット全寮制の学校施設において、子供たちへの美術教育実践による事例研究を発表していただきました。彼らも、中国政府により、祖国での自由を奪われた状態での亡命生活で、精神的な弾圧を受けた状態にあり、そのケアとしての美術教育実践の現場からの貴重な報告を発表されました。


 ご講演の資生堂の深澤氏は、育てあげた新入社員たちを「子供たち」とよぶ愛情を示され、企業における人材育成の根幹に関わるお話を通して、造形教育にとどまらず、幼稚園から大学に至るまでの学校教育の過程において身につけるべき、コンピテンシーやグローバル対応力の必要性等についての重要なご示唆をいただきました。従来のインプット型の研修からアウトプット型への変革を通して、答えがない物事に対して「考え抜く力」や失敗を恐れず「考え・行動し・やりきるクセ」を身に付けさせながらも、「心をみがくこと」が研修の隠れたテーマであるとのお話でした。
三者とも、大変興味深いお話であり、会場の参加者からの多くのご質問ご意見と共に活発な議論が行われた研究会でした。

研究会写真