5月月例研究会

 ◆平成24年5月13日(日) 午後3時~5時 
 ◆東洋大学 6404教室

 

◆実践発表
「つなげよう—実感を通して広げよう—」 
 三至磨明弘氏(東大和市立第五中学校)

「広告制作の現場から 多くのスタッフとの協働 ~イメージをすり合わせるということ~ 」 
 電通 CMプランナー 近藤裕見氏

今回も美術を通していかに社会や人、また異なる分野につながっていくかという事をキュレーションする視点での研究会となりました。教育の分野で「つながる」ことを実践されている東大和市立第五中学校の三至磨明弘氏と広告会社の電通でCMプランナーとしてご活躍されている近藤裕見氏の二人の方からのお話を伺いました。
 東大和市立第五中学校の三至先生は、今年3月まで8年間勤務されていた東大和市立第二中学校における「ムサビる!」の実践についてお話をいただきました。「ムサビる!」とは武蔵野美術大学と協力し合いながら、中学校の校舎、教室を大学に貸し出して、大学生の作品を展示・鑑賞する、つまり、学校を美術館にしよう、という取り組みで美大生の制作した本物の作品を見るということが感動を呼び、美術に対する喜びや美しいものを愛するということにつながると考え、「ムサビる!」を過去三回実践されています。 過去に行われた「ムサビる!」の写真や活動をわかりやすく、そのねらいとともに説明して頂き、「ムサビる!」によって生徒や武蔵野美術大学の学生との関わりや生徒が得たものについてお話し頂きました。


 後半は「広告制作の現場から 多くのスタッフとの協働 ~イメージをすり合わせるということ~ 」をテーマに広告会社 電通のCMプランナーである近藤裕見氏から1.CM制作の現場での制作の流れについて 2.多くのスタッフと協働するということについて ~イメージやアイデアをすり合わせること~ 3.今回の講義をするにあたり広告会社で働く、美大・芸大卒の若手~中堅社員4名に聞いたことについて の3つの観点からお話を頂きました。1.CM制作の現場での制作の流れについて ではCM制作という現場においての仕事の流れや、アイデアを形にする一連の流れや、どのようにスタッフが関わってつくられていくかということを丁寧に解説して頂き、2.多くのスタッフと協働するということについて ~イメージやアイデアをすり合わせること~ では「人の意見を聞いて理解する」、「自分の意見を伝わるようにする」、「お互いの立場を尊重し、話し合ってより良い解決策を見つける」といったコミュニケーションがCM制作の現場では大切であることや、「イメージをすりあわせる」こととは「何を?どうやって?」を考えることが中心となっていくということをお話し頂きました。また、「イメージをすりあわせる」際には言葉で規定できることが少なく、イメージやトーン空気感とともになって伝わることが多いため、美大出身のアートディレクターさんの存在が大きいことなど、具体的に詳しく制作の現場で行われていることをお話して頂きました。3.今回の講義をするにあたり広告会社で働く、美大・芸大卒の若手~中堅社員4名に聞いたことについて では講演のために近藤裕見氏がアンケートを作成し、それに回答した4名の美大・芸大卒の社員の方の記述を紹介する形で、それぞれの社員の方が仕事をする上で大切にしていることや、学生時代にやっておいて良かったこと等を近藤氏の解説を交えてお話頂きました。

 どちらの講演でも活発な質疑応答が行われ、会場の参加者からの多くのご質問ご意見と共に活発な議論が行われ、活気に溢れた研究会となりました。 

研究会写真