3月の月例研究会では、秋山研究部長による12月の月例研究会の振り返り
から始まりました。また、今回の演題を捉えながら『モノについて向き
合う姿勢をつくる』ことについての説明がありました。
そして今回ご登壇いただいたのは、東京造形大学名誉教授である春日
明夫先生です。春日先生からは、世界の民族・民芸の造形文化比較から
考える、創る意義と造形の意味についてのお話をしていただきました。
春日先生は長年に渡って研究をする中で、世界各国の玩具や民芸品を収
集し、その造形の文化理解から人がモノと向き合う本質について追求さ
れてきました。
春日先生のお話を聞き、子どもに造形的な見方や考え方を育むために、
モノとぶつかる鑑賞教育のあり方や意義、価値について改めて考えさせ
られました。中でも印象的だったのは、頻繁に出てきた「比較造形文化
」という春日先生の言葉です。絵や立体に関わる活動以外にも、他国と
の文化や風習の違いを考えながら理解を深めていく、「比較造形文化」
的な視点で鑑賞活動を行うことは、子どもの健全な精神の育成に繋がり
ます。モノとぶつかる価値について新たな視点をいただきました。
後半には、実際に世界中から集められた民芸品や玩具の鑑賞活動を行い
ました。広いスペースに、何十と世界各国の民芸品や楽器、玩具などが
並べられ、思わず童心に戻るような空間が広がっていました。鑑賞会で
は実際に触れ、眼でみて感じたこと元に、その物がどの国でどの様な意
味を持って作られているのかを想像し、私たちの文化との違いを味わい
ました。キャプションという固定概念にとらわれず鑑賞をしたことで、
触れて観て感じた、漠然とした感覚を大切に、子どもの鑑賞教育をして
いくことの重要性を感じました。正に、「モノとぶつかる価値」を感じ
た瞬間でした。
今回の研究会で新たなテーマについて深く捉えることができました。今
後の研究を深めるための土台作りとなる会となりました。
(文責 鶴田)