月例研究会

341期 3月月例研究会 報告 

3月の月例研究会では、秋山研究部長による12月の月例研究会の振り返り
から始まりました。また、今回の演題を捉えながら『モノについて向き
合う姿勢をつくる』ことについての説明がありました。
そして今回ご登壇いただいたのは、東京造形大学名誉教授である春日 
明夫先生です。春日先生からは、世界の民族・民芸の造形文化比較から
考える、創る意義と造形の意味についてのお話をしていただきました。
春日先生は長年に渡って研究をする中で、世界各国の玩具や民芸品を収
集し、その造形の文化理解から人がモノと向き合う本質について追求さ
れてきました。
春日先生のお話を聞き、子どもに造形的な見方や考え方を育むために、
モノとぶつかる鑑賞教育のあり方や意義、価値について改めて考えさせ
られました。中でも印象的だったのは、頻繁に出てきた「比較造形文化
」という春日先生の言葉です。絵や立体に関わる活動以外にも、他国と
の文化や風習の違いを考えながら理解を深めていく、「比較造形文化」
的な視点で鑑賞活動を行うことは、子どもの健全な精神の育成に繋がり
ます。モノとぶつかる価値について新たな視点をいただきました。
 
後半には、実際に世界中から集められた民芸品や玩具の鑑賞活動を行い
ました。広いスペースに、何十と世界各国の民芸品や楽器、玩具などが
並べられ、思わず童心に戻るような空間が広がっていました。鑑賞会で
は実際に触れ、眼でみて感じたこと元に、その物がどの国でどの様な意
味を持って作られているのかを想像し、私たちの文化との違いを味わい
ました。キャプションという固定概念にとらわれず鑑賞をしたことで、
触れて観て感じた、漠然とした感覚を大切に、子どもの鑑賞教育をして
いくことの重要性を感じました。正に、「モノとぶつかる価値」を感じ
た瞬間でした。
今回の研究会で新たなテーマについて深く捉えることができました。今
後の研究を深めるための土台作りとなる会となりました。

(文責 鶴田)