夏の研究大会

第68回 造形教育センター夏の研究大会報告①

7月29日(土)、30日(日)の二日間にわたり、成城学園初等学校にて第68回夏の研究大会が開かれました。お借りした会場はつながルームという名称で、「社会とつながる子供のデザイン」という研究テーマについて語り合うためのような場所です。

1日目の午前は基調提案とアーカイブ委員会からの報告がありました。

アーカイブ委員会の報告では、「センターの歴史に触れつつ、自身のイマ・ココを考える」という表題から、造形遊びをトピックとして、これまで造形教育センターの委員長や研究部長を経験してきた先生方が進行をしていきました。

最初のお話は大泉義一先生からでした。「歴史を知ることは私たちに何をもたらすのか」という提示から、歴史研究を行うことの意味について考えさせられました。歴史は今まさにつくられているということ,そして歴史とはエネルギーであるという言葉から,これまでのセンターが積み重ねてきた熱量を感じると同時に,この夏の研究会自体も大きく価値づけられた気がしました。

次に北澤俊之先生から「造形遊びをめぐる私たちの今」という、これまでの歴史を振り返り造形遊びのもつ意味を改めて考えるためのお話がありました。造形遊びが生まれてきた背景には、学習指導要領などの教育の観点,そして具体などの当時の美術界の動向を背景にあります。子供に創造的に関わることといった指導者としての構えなどを押さえつつ、モノが変化する中で子供も変化するという造形遊びの特質まで話が広がっていきました。

最後の小林貴史先生のお話は、「創造主義教育としての系譜-造形遊びが構成教育から継承したこと―」という表題でした。52年の学習指導要領に造形遊びが急に現れたわけではなく、戦後すぐにその傾向が教科書から見られたことなどを貴重な資料を示しながら説明していただきました。造形遊びを一つの表現として捉えていってしまっている教員は多くいます。歴史から紐解いていったとき、その造形遊びの理念が正しく理解されているのか考えさせられました。

アーカイブ委員会を中心に今後は70周年記念式典に向けて準備が進んでいきます。同時に造形教育の研究を進めていくことで、歴史はエネルギーであるということを体現してきます。